作成日:2026/08/30
ニュースレター巻頭言 2026年9月号
トヨタイムズ第1号「私たちはどうあるべきか」(2019.06.24) 要約
1.会社は「儲けるため」だけに存在するのではない
塚越氏が考える会社の原点は、
「世の中や人が困っていることを、どうしたら良くできるか」
という発想です。
トヨタの創業者たちも、
織物をする人の重労働をなくす
荷車を引く人の苦労をなくす
という「人の苦労を減らす」ことから事業を始めました。
利益は目的というより、社会や社員に役立つ会社を続けた結果として生まれるものという考えかたです。
2.「How to do」より「How to be」
この記事の最大のキーワードです。
How to do=どうやるか
ではなく、
How to be=どうあるべきか
を先に考える。
例えば自動運転も、
「楽をするため」だけなら、本当に良い進化なのか?
「事故を減らし、人を幸せにするため」なら価値がある
というように、技術や手段よりも、その目的・あり方を考えることが重要だとしています。
3.「年輪経営」=急成長より、毎年少しずつ確実に成長
伊那食品工業の経営哲学が「年輪経営」です。
木の年輪のように、
無理に急成長しない → 力を蓄える → 毎年少しずつ成長する
という考え方です。
そのため、
無理な拡大をしない
リストラをしない
一時的な売上増を追いかけない
長期的に会社の力を蓄える
研究開発を重視する
という経営を行っています。
**「大きくなること」より「長く良い会社であり続けること」**を重視しています。
4.経営で最も重要なのは「人の幸せ」
塚越氏は、
「人の幸せ」を経営の根幹に置く
ことを強調しています。
社員についても、
健康で働けること
働くことに喜びを感じられること
安心して長く働けること
自分の会社を好きになれること
を重視しています。
その象徴が、社員の重労働をなくすための**「長靴よ さようなら」運動**です。
「合理化=会社の利益を増やす」ではなく、
**「社員の苦労を減らすために合理化する」**という発想です。
5.「優秀な人」の定義が普通と違う
非常に印象的な部分です。
塚越氏は、
「本当に優秀な人とは、優しさに秀でた人」
と考えています。
つまり、
優秀=知識が多い・仕事が速い・能力が高い
だけではない。
むしろ、
相手を思いやる力がある
→ 周囲の人を幸せにできる
→ 感謝・信頼・尊敬を得られる
人こそ本当の意味で優秀だ、という考え方です。
6.社員教育は「スキル」だけでは不十分
多くの企業では、
「仕事ができるようになるための教育」
に力を入れます。
しかし塚越氏は、それ以前に、
「人としてどう生きるか」
「どう人の役に立つか」
「どうあるべきか」
を教えることが重要だとしています。
つまり、
スキル教育 < 人間教育・価値観教育
という考え方です。
7.「利他」の考え方が会社を強くする
塚越氏が社員に伝えている言葉が、
「忘己利他(もうこりた)」
です。
これは、
自分の利益だけを考えるのではなく、他人のためになることを考える
という考え方。
他人のために行動する
↓
「ありがとう」と感謝される
↓
信頼・尊敬される
↓
自分自身も幸せになる
という循環を作ることを目指しています。
8.「ファンづくり」には「尊敬」が必要
伊那食品工業では、単に商品を売るだけではなく、
「この会社が好き」
「この会社を応援したい」
「この会社で働きたい」
というファンをつくることを大切にしています。
しかし、単なる知名度では本当のファンにはならない。
そのために必要なのが、
「尊敬される会社になること」
です。
社員、顧客、取引先、地域社会から、
「あの会社はいい会社だ」
と思われることが、長期的な企業価値につながるという考え方です。
9.社員自身が「会社のファン」であることが強さになる
記事で非常に象徴的なのが、伊那食品工業の社員が自分たちを
「伊那食ファミリー」
と呼んでいることです。
会社の理念が経営者だけの言葉ではなく、
社員一人ひとりの日常行動にまで浸透している。
挨拶、掃除、庭の手入れ、接客など、細かなところまで「会社の価値観」が表れています。
つまり、
経営理念
↓
社員の価値観
↓
日々の行動
↓
顧客の体験
↓
会社への信頼・尊敬
↓
ファンになる
という好循環です。
10.「遠きをはかる」=目先ではなく将来を見る
経営者は、
「今年いくら儲かるか」
だけを見るのではなく、
「10年後、20年後にどういう会社でありたいか」
を考える必要があります。
そのためには、
研究開発
人材育成
社員の健康
顧客との信頼
地域社会との関係
会社の理念・文化
など、短期的な利益には直接結びつかないものへの投資が重要になります。
この文章の核心を一言でいうと
「良い会社をつくるとは、売上や利益を最大化することではなく、人を幸せにし、社員・顧客・取引先・地域から尊敬され、長く成長し続ける会社をつくることである。」
そして、そのために重要なのが、
「どうすれば儲かるか」ではなく、
「私たちはどうあるべきか(How to be)」
を経営の出発点にすることです。













